2004-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「嗤う伊右衛門」 (3) ズレと日本と

ルースベネディクトの「菊と刀」については、一度はどこかで聞いたことがあるかと思う。1944年に出版されたこの本を書いたのは一度も日本へきたことのないアメリカ人であるが、その洞察力はすばらしく、「日本の文化の型」を鋭く語った名著である。それでは…

「嗤う伊右衛門 」  (2) ズレと日本と

まずこの作品で最初に確認しておきたいのは、これが、広くしられた物語を再構築したものであることだ。 本来の四谷怪談は、伊右衛門が出世欲と(色?)欲に目がくらみ、妻のお岩を薬で毒殺、梅と結婚するが、彼女ともども岩に呪い殺されるという話である。 …

「アダプテーション」       創造すること

「アダプテーション」 創造の耐えられない重さ現実と虚構が交錯する映画といえば、最近では、先日紹介した「僕の妻はシャルロット・ゲーンスブール」などであろうか。あの作品では、シャルロット・ゲーンスブールだけが実在のご本人で、本人が本人を演じてい…