2004-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「下妻物語」

「下妻物語」 たいへんよくできました 嶽本野ばら原作の不思議小説の映画化である。 レースのパラソルにボンネット、ロリータファッションに身を包むロココ命の少女、桃子(深田恭子)。彼女はコテコテのチンピラ家庭出身だが、「心はいつもお仏蘭西」とばか…

「恋愛適齢期」   

「恋愛適齢期」 一筋縄ではいかない恋の行方ダイアン・キートンにジャック・ニコルソン、脇役にキアヌ・リーブスという豪華メンバーで話題を呼んだ、「恋愛適齢期」(Something's gotta give)である。 ハリー(ニコルソン)はすっかり熟年の男性だが、いまだ…

「僕は怖くない」

「僕は怖くない」 映像と音楽で語る社会派叙事詩映画 ガブリエーレ・サルヴァトーレス監督(「エーゲ海の天使」1991でアカデミー外国語映画賞を受賞)の2003年監督イタリア作品である。原作は同名のニコロ・アンマニーティーの小説で、脚本も本人が担当した…

SAW 「ソウ」

SAW 「ソウ」 無痛社会の激痛映画 サンダンス映画祭で セブン meets CUBE として話題をさらい、オーストラリアの脚本・監督のマイナー作品でありながら、全米2000館公開の大ヒット作品となった作品である。SAWとは、のこぎりの意であり、動詞seeの過…

モンスター    

「モンスター」 アメリカの車輪に巻かれて (批評ですので、ネタバレが含まれます) かつて「無知の涙」という本があった。永山則夫という死刑囚(少年時代に4人を射殺)が、獄の中で独学、自らの人生を反芻し、その犯罪をするにいたった経緯、心理などを語…

「ドーン・オブ・ザ・デッド」     

「ドーン・オブ・ザ・デッド」 会話のきっかけに。 演技力では定評のある女優、サラ・ポーリーを主役に置き、ロメロの最高傑作をタイトルもそのままにリメイクしたのが、この、「ドーン・オブ・ザ・デッド」である。 看護婦アナ(ポーリー)は一日の仕事を終…

「スクール・オブ・ロック」  

「スクール・オブ・ロック」 子供には勝てません 「愛しのローズマリー」でパルトロウとの絶妙なコンビでほのぼのと笑わせてくれた、ジャック・ブラックの、映画公開当時も評判の高かった、コメディである。 ロックギタリストのデューイ(ジャック・ブラック…

「キル・ビル」vol.2           究極の筑前煮ムービー!

賛否両論だった前作「キル・ビル」が、「あの映画なんなん?」という人と、「最高!」という人にぱっくりと別れてしまったのは、記憶に新しいだろう。しかし、監督の意図まで考えてみると、なかなか褒めてあげたくなる作品である、と私は書いた。(もちろん…

「コラテラル」         

「コラテラル」 佳作『ドラマ』として見る 「ヒート」のマイケル・マン監督に、天下のトム・クルーズが悪役に挑む、と聞けばおのずと期待してしまう「サスペンス・アクション」ムービー、「コラテラル」。ところがどっこい、この映画、「サスペンスアクショ…

「モンスター」              アメリカの歯車に巻かれ

(批評ですので、ネタバレが含まれます) かつて「無知の涙」という本があった。永山則夫という死刑囚(少年時代に4人を射殺)が、獄の中で独学、自らの人生を反芻し、その犯罪をするにいたった経緯、心理などを語った作品である。そこに描かれるのは社会か…

「ステップフォード・ワイフ」 

「ステップフォード・ワイフ」 ヨーダの送る豪華「コメディ」「ステップフォードワイフ」は、ニコール・キッドマン、クリストファー・ウォーケン、マシュー・ブロドリック、ベッド・ミドラー、そしてグレン・クロース、と主役級をまさに豪華にそろえた新作映…

「トゥー・ウィーク・ノーティス」

「トゥー・ウィーク・ノーティス」 「デンジャラス・ビューティー」「恋は嵐のように」の脚本家、マーク・ローレンスが、ガサツの女王・サンドラ・ブロックと、ダメ男キング・ヒュー・グラントを主役にすえ、自分の脚本ではじめてメガホンを取った!のが本作…

カレンダー・ガールズ

実話にもとづいた、快作である。 イギリスののどかな片田舎。女性たちの感心ごとといえば、女性連合の集会や催し物だが、これがまた、思わず笑いたくなるほどのつまらなさ。 そんな時、ウィットに富み、また愛情深かったアニー(ジュリー・ウォルターズ)の…

マルコビッチの穴 

「操る⇔操られる 人間の思考の穴」 人間が主体的な生き物だと説明されれば、あなたは納得できるだろう。 人はモノローグな生き物だ。全てを自分に関連付けて考え、全てを自分のなかで解釈する。所詮会話の相手の言ったことも自分で解釈しているのだから、そ…