2004-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「座頭市」  「転倒」の物語−「庶民」バンザイ!

「座頭市」 「転倒」の物語−「庶民」バンザイ! 北野武の作品を貫くものがある。それはもちろん、常に死であるかもしれないが、(故淀川長治先生は、たけしが死と暴力を乗り越えたときにこそ最高傑作を作るだろうと語った)、「たけしくん、ハイ」「菊次郎と…

「ガタカ」 (2)

「ガタカ」 (2) アンドリュー・ニコルの光と影 さて、「ガタカ」より早くに執筆されていたのが公開は後となった「トルーマンショー」であるが、「ガタカ」と「トルーマンショー」の共通点は、その双方が「作られた封鎖社会」からの脱出を描いた物語であるこ…

「ガタカ」            (1) SFとしてドラマとして

「ガタカ」 (1) SFとしてドラマとして ずいぶん前の映画でありながら、語られる機会の多い作品である。かつて映画館で見たものの出来の悪いSFであるという印象があったため、もう一度見直してみようと思い立った。 今回の鑑賞の結果、これは、秀逸なアイ…

「マレーナ」  イタリア版「フォレスト・ガン

「マレーナ」 イタリア版「フォレスト・ガンプ」として 「マレーナ」は一世を風靡した近年のヨーロッパ映画の作品のひとつだ。いろいろな雑誌でも、テレビでも、話題作として大々的に宣伝され、とりあげられた。主人公を演じるのは「イタリアの宝石」モニカ…

「ヘブン」

「ヘブン」 わたしが、あなたと、天に昇るまで。 名匠クシシュトフ・キェシロフスキは、「殺人に関する短いフィルム」で注目されたが、「トリコロール」の三連作が日本では特によく知られているだろうか。トリコロールの青・白・赤のそれぞれの意味、平等、…

「過去のない男」

「過去のない男」 静かで穏やかな生きなおしの日々 列車から降り立つ一人の男。ベンチに力なく座る彼の背後から、がらの悪い若者たちが容赦なく彼を叩きのめした。 しばらくして歩き出した男は駅のトイレで倒れこみ、病院で死亡の宣告を受けるーーが彼は蘇生…

「ラスベガスをやっつけろ!」 みんな、ギリアムに騙されてない??

原作は、ハンター・S・トンプソンの同名ドキュメンタリー。トンプソンは、ゴンゾ・ジャーナリズムの創始者であるが(石丸元章さんなんて、この流れなんでしょうね)、じゃぁどんなものなのかといえば、 "Thompson deplores a rambling rolling style of wri…

「セクレタリー」  変態だって幸せになれるのね☆

かっこよすぎる、ジェームズ・スペイダー!!じゃないや、サンダンス映画祭で特別審査員賞を受賞した、ももちき一押しの純愛変態ラブロマンスである。 (※ももちきは変態ではありません、念のため) リー(ジェイク・ギレンホールのお姉ちゃん)は、自傷行為…