2005-01-01から1年間の記事一覧

モナリザ・スマイル

モナリザ・スマイル 50年代を生きたアメリカ女性たち ヒラリー・クリントンの自伝に記されたアメリカの名門女子大ウィズリー校での話しをもとに、ジュリア・ロバーツ、キルスティン・ダンストといった有力キャストで描かれる、先駆的な美術講師と、生徒達の…

「呪怨」日本版

怪物と戦うものは、その過程で自分も怪物とならないよう気をつけねばならない。深淵を覗き込むときその深淵もこちらをみつめているのである。−ニーチェ サム・ライミがほれ込んで清水監督本人にメガホンを取らせリメイクした「呪怨」−サム・ライミの心を捉え…

キューティーハニー

「キューティーハニー」 劇団演技陣の素晴らしさと「ハニー不足」 1973年にアニメ放送されカリスマ的人気で伝説となった、あの永井豪アニメを、「ハニメーション」と名づけられた、アニメ+子供実写番組の風味を残したVFXで実写して見せたのが、本作品で…

コールドマウンテン

「コールドマウンテン」 監督の長所短所双方が目立つ映画全米図書賞を受賞したチャールズ・フレイジャーのベストセラー小説を「イングリッシュ・ペイシェント」のアンソニー・ミンゲラ監督で映画化したのがこの作品である。 1860年代、アメリカ。コールドマ…

息子のまなざし

「息子のまなざし」「ロゼッタ」のジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督の、2002年作品である。主役のオリヴィエ・グルメは、ほとんどセリフの無い役柄ながら、その確かな演技力でカンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞した。 職業訓練所で木工を教える中…

ミッシング

「ミッシング」 リアルで冗漫な開拓劇 監督は「ビューティフル・マインド」「アポロ13」のロン・ハワード。トミー・リー・ジョーンズとケイト・ブランシェットを主役に迎えた、手堅いアメリカ開拓時代劇である。 1885年、アメリカ・ニューメキシコ州。医術…

エレファント

「エレファント」 何を伝えようとしているのか コロンバイン高校で1999年に起きた高校生乱射事件をご記憶の方は多いと思う。最近ではかのマイケル・ムーア監督が、この事件を引き起こした原因を「悪影響を与えるゲームやテレビ、音楽」ではなく、「銃を容認…

「ウォルター少年と夏の休日」

「ウォルター少年と夏の休日」と「ビッグフィッシュ」−二つの同じ物語 監督・脚本はティム・マッキャンリーズ。実はこの映画、どうやら、かの感動作ティム・バートンの「ビッグ・フィッシュ」へのいわば対抗馬、いや、二匹目のどじょう映画であるようだ。マ…

「ターミナル」 (2)風刺として読む

「ターミナル」 (2) (※批評ですので、ネタばれが含まれます) ターミナル、の基本構造は、東欧からの素朴で純粋な男が、こりかたまったアメリカ(の縮図空港)にさわやかな風をふかす、というものだ。このヨーロッパ・アメリカ間での「新しい風・さわやか…

「ターミナル」 (1)

「ターミナル」 (1) その背景いまさらながら、「ターミナル」である。詳しいことをご存じない方がいないとも限らないので、少しばかりこの映画の背景について説明することから今日は始めようかと思う。(ご存知の方は、次の日の批評へどうぞ)このトム・…

「ワン・コイン・ヘブン」 

「ワン・コイン・ヘブン」 In god We Trust 原題:In God We Trustとは、アメリカのコインに刻まれている言葉。われわれは(お金ではなく)神に信心をおき神に集います といったところだろうか。 道端に落ちていた 10 セント銀貨を拾ったばかりにトラックに…

ロスト・イン・トランスレーション

「ロスト・イン・トランスレーション」 失うことの価値 マルチに活躍するソフィア・コッポラの、「ヴァージン・スーサイズ」につぐ映画作品である。もちろん今回も脚本、メガホンともにソフィア・コッポラ本人。彼女が目にした日本を舞台に繰り広げられるラ…

10億分の1の男

「10億分の1の男」 傑作ミステリアス・サスペンス 監督・脚本はスペインの新鋭、ファン・カルロス・フレナディージョ。スペイン・ゴヤ賞の最優秀新人監督賞を受賞した、傑作である。 荒涼とした砂漠にある一軒のカジノ。フェデリコはそこで「運」を操る仕事…